5日目 松井田 2014年8月9日(土)


《本日の歩行距離0km (累計136.96km)》

昨日の続き)15分後、「大丈夫かな?」と思いながら、足を引きずり行く。「本当にやっているんだろうか?」といようなたたずまいに不安になりながらも玄関の呼び鈴を押す。 すると、先程電話に出たであろう女将らしき女性と、その娘らしき子供が出て来られる。「先程電話した中島です」と言うと「いらっしゃいませ」と娘さんも一緒に頭を下げて迎えてくれた。一瞬で不安は吹き飛んだ。

決して新しい建物ではないが、人柄がしのばれる好感の持てる雰囲気が伝わってきた。突然のこと(宿泊)で、電話では夕食の準備は出来ないとのことだったが、お風呂の準備をしてくれている。 娘さんに二階の部屋に案内してもらうと、6畳ほどの部屋に、ベッド・テーブルなどがあり、「友達の家に泊めてもらったら『今日はこの部屋に泊ってね』と案内された」ような感じの部屋だ。

料金は素泊まりだと5,500円とネットにあったが、朝食付きでは6,000円だという。また、事情を話し、二三日お世話になることは可能かと聞くと、通常一泊二食付きで8,000円とのことだが、 連泊であればあまり凝った夕食にしなければ7,000円と言う。それでお願いをした。今夜は夕食は無い訳だが、さほど空腹でもなく、足も痛み早く休んでしまうだろうから、 部屋に運んできてくれたお茶とおせんべい、持参の梅干し、にん玉4つぶを飲んですませてしまう。

近所にコンビニは無く、1.4kmくらいのところ(普段なら平気な距離だが)にあるが、明日の朝食後にクルマで連れていってくれると言う。足が痛むのでありがたい。

その晩は適当に荷物をほどき、テレビでニュース番組・天気予報などを確認の上、ぐっすり眠った。


《昨夜はサロンパスを貼って眠った》

旅のくせか、一度早朝に目が覚めるが、再度眠り7:30に起床。8:00に部屋に朝食を運んで来て下さる。おひつに一杯のごはんを入れてくれ、すべて食べきれなかったが、 半膳ほどのごはんをラップにつつんで昼用にとっておく。(ラップはテーピングの予備を包んできたもの。こんなところで役に立つとは。おかずはもちろん、梅干しがある)


《妙義山を眺めながらの朝食》

《お茶をいただく》

9:00、クルマでセブンイレブンに連れて行ってもらう。宿泊費支払いのためなどに現金をATMでおろし、2Lの麦茶(98円)、洗剤、あんぱん(ミニ4ヶ入)を買う。 色々買い込んでも飽食するだけだろうし、今日からは夕食も出るので慎む。大きな麦茶を買ったのは、水分だけは我慢出来ないことを体が知っているからだ。 ポットの湯とお茶は出してもらったが、水分だけは我慢しないように。あんぱんは多少甘いものを補給しておいた方が良いのではという、これも「内なる声」。

コインランドリーのような洗濯機は宿に無く、宿の方が「こちらで洗ってお渡しはできるが、、」言うが、さすがにそれは申し訳ない。 「他の客がいなければ二階の流し場で洗濯して良いか」と聞くとOKとのことなので、洗剤を買って手洗いをした。作務衣のズボンは綿なので、なかなか絞るのが大変。 手洗い洗濯していると、昔小学校の家庭科で洗濯を習い、「押し洗い」などの言葉があったのを思い出す。

作務衣は手絞りの脱水のみで部屋干ししても、なかなか乾かないだろうが、2日くらい干しとけば何とかなるだろう。部屋には新しいエアコンが設置されていて、ドライモードもある。 下着類はユニクロのエアリズムなのですぐ乾くだろう。くつしたもユニクロの五本指だが、これも2日も干せばよいだろう。なかなか手洗いは大変だ。昔の女性は大変だったんだなと思いを馳せる。


《手洗いで洗濯をする》

11:02、今日は長崎の原爆の日。テレビの前で黙祷をする。

玄関のところにエレクトーンとピアノがあり、聞くと女将は昔エレクトーンの講師をしていたことがあり、娘はピアノを習っていると言う。昨晩も娘さんの練習するピアノの音が聞こえて来た。 私も昔エレクトーンをやっていたことを話したところ、夕食後に聞かせてくれるそうだ。

娘さんに聞くと、高3だと言う。とても礼儀正しく控えめな感じ。「失礼ですが、今時めずらしいくらいのお嬢さんですね」と言うと、「よく言われます」と笑いながら、やはり大人しい感じの女将も言った。

今日は降ったりやんだり、やはり台風の影響で、降る時はかなり激しく降る。本当に宿に入っていて良かった。こんな天気だが、それでも雨の止み間にはセミが鳴く、雨が降ると鳴き止む。その繰り返し。 部屋の網戸にもセミがやってきて、ひとしきり鳴いて行った。あんぱんを一つだけ食べる。


《窓にセミがやって来た》

朝食と一緒に部屋に持ってきてくれた新聞は上毛新聞だった。一階には家の方も住んでいるのだが、姪っ子だかが遊びに来ていると言う。楽しそうな声が二階にも届き心地よい。 二階の流しには、姪っ子が書道の練習で使ったという硯が置いてあった。今時の硯はプラスチック製なんだなぁ。


《上毛新聞・上毛スポーツ》

17:00、お風呂に入れていただき、18:30に夕食を運んでいただく。手作りだろうメンチカツにアマゴかイワナのような川魚(アマゴ、この辺ではヤマメか?)。 久しぶりの川魚(鮎のような苔を食べる魚ではない)の味を楽しんだ。ゆでとうもろこしも素朴で良い。おひつには朝よりたくさんの美味しいごはん。ほんの少しだけごはんを残しておいただけで、すべて食べた。


《心づくしの夕食をいただく》 

ニュースを見ると、各地で台風被害が出ている。台風一過の緑が楽しみなどと思っていたが、まずは台風進路地域の無事を祈るべきだった。

昨日、サロンパスを貼って寝た左足、まだ腫れがあるようだったが、気にしながらも熱い風呂に入ったら、また腫れがぶり返し、以前にも増してぷっくりとしてきた。 ネットで調べると、ねん挫などの場合、冷やすのは対処療法であり、一時的には腫れは引くが、本来的には自然の状態(体が治ろうとする状態)を保つため、冷やすのも温めるのもどちらに偏るのものではないという。 それを当てはめると、熱い風呂はよくなかったか。かつてねん挫などで病院に行ったときも、風呂には入らないようにと、子供のころ言われていた気もする。


《入浴後、また腫れてきた》

食後間もなく、階下からエレクトーンの演奏が聞こえて来た。お膳を下げて一階に降りると、女将が演奏していた。娘さんのピアノ演奏も加わり、僕も稚拙ながら弾かせてもらう。 日中も時間があるだろうからと弾いてもいいよと言って下さる。不思議な旅の出会い、展開になって来た。エレクトーンを弾く人を久しぶりに見て、ヤマハに通っていた子供時代の12年を思い、 少し感傷的な気分にもなったが、すぐに音楽を楽しんだ。

部屋に戻ると、左足首が熱い気がする。エレクトーンは左足も使うので良くなかったかな? しかし、痛みは治まりつつあるように思う。 この熱っぽさは、今、一生懸命に治ろうとしているのだろうと考える。無理をかけてすまない、よろしくお願いします。


《昨日、松井田駅で捺したスタンプ》


~今日のFacebookから~


FACEBOOK 2014.8.9 AM10:03
【妙義山を眺めながら朝食】 昨晩は、松井田の旅籠に急遽投宿した。 実は、道中左足を痛めてしまい、痛みと腫れが出てきたこと。また、台風11号の影響が心配され、碓氷峠前後から先、野宿を考えていたが天候が厳しそうなこと。それらを考えて、いまここで足を回復させ、台風をやり過ごすことが最良と判断したのだ。 そこでスマホでネット検索し、見つけたのが今の宿だ。 しかし、松井田は小さな町で、駅も無人駅でないのが不思議なくらい。そんなところで、それも今すぐに投宿できる場所が見つかったのは、今時の徒歩旅の中にあって幸運としか言いようがない。 昨晩は大雨だった。今日も曇天で、すでに台風の影響が心配され始める。二三日、逗留し台風をやり過ごし、痛む足を癒すことにした。 諸々考えると、このタイミングで足が痛み、すぐに宿が取れたことに、昨年も感じた「何か」が動き始めた気がする。 いま、階下から宿のお嬢さんが弾くピアノの音が聞こえてきた。 いまはゆっくりと休み、再び旅を再開したら、感謝の心を持って歩き続けよう。 みなさま、ありがとうございます。


FACEBOOK 2014.8.9 PM9:10
【晩ご飯、台風ニュース、食後】 17時、お風呂をいただき、18時半、晩ご飯をいただいた。 ... 朝よりたくさんおひつに入った、おいしいご飯。 手作りだろうミンチカツ、あまごのような川魚。 添えられた畑のミニトマト、香りの強い山椒葉。 いただきながらニュースを見ると、各地で台風の被害が出ているそうだ。「台風で洗われた後の緑が楽しみ」、そんな事を思う前に、暴風・暴雨にみまわれている地域の無事を祈るべきだった。 食事を終えると、階下からエレクトーンの演奏が聞こえてきた。お膳を下げて一階に降りると、宿の女将がエレクトーンを弾いていた。 懐かしい。ヤマハの教室に毎週通っていた12年を思いだした。 その後、高校生のお嬢さんのピアノ演奏も加わり、僕自身も、稚拙ながら演奏を楽しんだ。明日から、日中弾いてもかまわないと言って下さる。 こちらは、天候と足の回復待ちの旅人。することなどはない。足に負担のかからないように、鍵盤に親しもう。 昨年とはうってかわった旅模様。 台風の被害がこれ以上拡がりませんよう。


第4日目目 次第6日目